2 / 12

ビンゴ大会(遊技場『キッチュ』開催) 1

下ル下ル商店街には様々なお店がありますが、奥へ行けば行くほどにディープさが増します。 その点、商店街の入り口すぐのこの店『キッチュ』は、健全そのもの。紳士のための遊技場です。楽しいイベントを不定期開催していますよ。さぁさ、お気軽にお立ち寄りください。 黒い布で目隠しをされたトオルは、浣腸の名残に腹をぐるぐる鳴らしながら、二の腕を掴まれてよろよろと歩いていた。バニーガールコスチュームから露出した若々しい肌に反して、その足取りは重く、背中は悲愴なほどに丸まっている。 それは何も、履き慣れないハイヒールのせいでも、男の身でバニーに扮しているからでもない。むしろ、ずっと目隠しされ続けているトオルは、自分がそんな格好をさせられていることにもいまだに気付いていなかった。 足取りが覚束なくなってしまうのは、尻に入れられたバルーンのせいだ。直腸内で目一杯膨らんだバルーンは、内側から尾てい骨に接するほど巨大で、無理矢理広げられた腸壁の軋む音が聞こえてきそうなほどだった。両手首は後ろ手に手錠をかけられ、自分では目隠しを外すことも、バルーンの空気を抜くこともできない。 だがトオルは無理強いされているわけでは決してない。今から何をさせられるのか、詳細な説明を受けてはいなかったが、この場に自分の意思でやってきたことだけは間違いなかった。 彼は、大金が手に入る『ゲーム』とやらに参加するためにこの場所へやって来たのだ。違法カジノで借金をこさえた身だというのに、生来の博打根性は懲りるということを知らない。 トオルは今や完全に脅え、生気を失ってはいたが、絶対に『ゲーム』に勝って大金を稼いでやるという闘志だけは、胸の中でギラギラと光を放っていた。 その耳元に、腕を掴んでいる男の低い声が囁く。 「今夜の賞金は五千万円で確定しました。頑張ってくださいね。さぁ、ゲームスタートです」 小さくこくりと頷き、トオルは男に腕を引かれるまま、目隠し越しにもわずかに光が感じられる舞台へと足を踏み出した。

ともだちにシェアしよう!