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第2話 裏腹。

君が俺を見つけてくれたあの日から、俺の片想いが始まった。 中学三年生にもなるとゲームやアニメの話題ばかりだった子ども達は、思春期を迎え異性を意識するようになる。 俺の意識は陸斗にだけ向いていた。彼の瞳に自分はどう映っているのだろう。 名前の呼び方が、りっちゃん・大君から陸斗・大樹へと変わっていったのも気恥ずかしさを感じるようになった所為かも知れない。ちゅん太はちゅん太のままだけど。 ちゅん太と俺はしょっ中ケンカもするが、数十分後には何事も無かったかのように一緒に居る。お調子者だけど気の良い奴だ。 クラスメイト達にも人気がある。 親しい人に対してスキンシップが激しいのが玉に瑕だ。本人に悪気は無いのだが、陸斗にベタベタくっ付くのだけは勘弁して欲しい。 「り〜くとっ!宿題見せてっ。」 ほらな、コレだよ。陸斗に馴れ馴れしく抱き付きやがって。 「ちゅん太、偶には自分でやったら?このままじゃ、一緒の高校に進学出来ないよ。」 「テスト前になったら、りっちゃんが手取り足取り腰取り教えてくれれば大丈夫!」 腰取りってなんだ、腰取りって… いつまで陸斗にくっ付いてるんだよ。 『こんな時だけりっちゃんとか呼ぶなよな。』 「なんだ?大樹寂しいのか?んじゃ、お前の事もガキの頃みたいに大君って呼んでやるよ。」 『はあ?誰もそんな事言ってねぇだろ。』 「ちょっと、二人共止めなよ。ちゅん太、テスト前に勉強みるのは良いけどちゃんと自分でも勉強しなきゃダメだよ。」 「了解!りっちゃん大好き!」 ちゅっ。 『テメェ!陸斗に何してやがる!!』 「何怒ってんだよ。ほっぺにチュウしただけだろ。」 ほっぺにチュウしただけだとぉー?! 陸斗にチュウして良いのは俺だけだ!! なんて…言えねぇ… 『誰彼構わずベタベタする癖を直せ!』 「大君も俺にチュウして欲しいの?」 『違うっ!!』 「もぉ〜。拗ねんなって!」 『止めろっ!抱き付いてくんなっ!』 「…大樹とちゅん太はホントに仲良しだね。」 『そんなんじゃねぇよ。』 「そっかなぁ?」 『そうだよ。そんな事より、あんまりちゅん太を甘やかすな。此奴の為にもならねぇぞ。』 本音は違う。勉強と称して陸斗とちゅん太が二人きりになるのが嫌なだけだ。 「うん…分かった。」 こんな時、陸斗は決まって寂しそうな顔をする。 そんなにちゅん太と一緒に居たいのか? 此奴の事が好きなのか? もし、ちゅん太も陸斗を好きだったら… 二人の仲睦まじい様子に焦りを覚える。 どうしたら俺を好きになってくれるのだろうか? 優しくしたいのに、本人を前にすると心とは裏腹に素っ気ない態度を取ってしまう自分に嫌気が差す。其れでも変わらぬ優しさで接してくれる陸斗。 彼への想いが益々募る。

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