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第3話 潜んでいた獣。
受験を控えた俺達は今日で部活動を終える。後輩達と行なった最後のサッカー試合は勝利を収めた。彼等の餞別の様な気もするが、自分達の実力だったと信じよう。
ロッカールームのドアを開けると陸斗がぼんやりと窓の外を眺めていた。
『何を見てるんだ?』
「んー。グラウンド。」
気怠い雰囲気を漂わす彼に吸い寄せられるように、俺の足は窓辺へと近付いて行く。
陸斗の真後ろに立ち、包み込むように窓のヘリに両手を着いた。
彼との隙間は10cm程度。吐く息が掛かる程の距離なのに、後一歩が踏み出せない。
首筋に唇を這わせたい衝動を必死で堪え、彼の肩先にそっと顎を乗せる。
『楽しかったな。』
「うん。」
俺達は慣れ親しんだグラウンドに別れを告げた。
「大樹、俺さ…」
『ん?』
言葉の続きを聞くより前に、部活のメンバー達がバタバタと足音を立てロッカールームに戻って来た。
彼の元から離れた後も鼓動は治るどころか激しく波立ち、其れは下肢にまで影響を及ぼした。
汗で湿った体操服を脱ぐ彼の姿に股間が疼いたのだ。
平静を装い手早く着替えを済ませると、二人に『用事が有るから先に帰る。』と告げ、家路へと急ぐ。
部屋に入って直ぐに、ドアの鍵を掛けカーテンを閉めた。制服のズボンを脱ぎボクサーパンツを下げると、反り勃った陰茎がぶるんと跳ねた。
ベッドへ寝転び瞼を閉じる。首筋から汗が伝い濡れた桜色の乳首と、まだ幼さが残る彼の裸体を思い出しながら、己の雄に手を伸ばす。
あの乳首を口に含んだら、陰茎に触れたら、彼はどんな風に喘ぐのだろうか…
そう思うだけで勃起した雄が厚みを増し、先端から溢れた透明な露が滑りを帯びる。
自分の下で善がり狂う彼を想像しながら手淫の速度を速めると、身体が震え絶頂に達した。
荒くなった呼吸を整えながら、シーツの上に撒き散らした白液をじっと見詰める。
心だけで無く、彼の全てを欲している獣が自分の中に潜んでいる事を、俺は初めての自慰行為で知った…
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