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「正直に言えばいいのに」 「は……?」 「こういうことしたいから、いつも傘、わざと忘れるんじゃねーの」 「違っ……」 「だって宿題とか一度も忘れたことなくってさ、いつも何でも完璧に準備しているお前が、こういうとこだけヌケてんのっておかしいもん」  それは本当に誤解だった。でも陽翔にじっと見つめられると、それを真実にしてもいいような気がしてきて、最終的に、陽翔の告白がとどめを刺した。 「だって俺はいつもそうだったから」 「そう、って……」 「お前に届けてほしくて……甘えたくて……いつもそう、やっていた」  何でこんなときに言うんだ、と思う。  隠すものが何もないこんなときに。

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