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第2話

あの日とにかく遠くへ行きたかった俺は 適当に特急の切符を買い、適当な街で降りた。 そして… 今も住んでいるこの街に辿り着いたのだ。 大荷物で知らない土地を ふらふらする俺に聞こえてくるのは あまり心地のいい言葉ではなかった。 そのうち歩き疲れてしまい 少し休もうと道の隅に腰を下ろした。 その時だった。 「こんな所に座り込んでどうしたのかな?」 って俺に声をかけてくれた人がいた。 その人は群青色の長めの髪の毛と 優しそうな笑顔が印象的な人で 「帰る場所が無くなっちゃったんです…。」 なんて初対面なのにぽろっと言ってしまった。 「そっか…じゃあ、僕の所に来る?」 そう言われて怪しいと思った俺は 何も言わず首を横にふった。 するとその人がいきなり近寄ってきて… 「キミ、Ωでしょう? こんな所にいたら危ないと思うよ?」 と小さな声で言われたのだ! 「な、なんで…」 言葉が出てこない俺に 「僕もΩだからわかるんだよね。」 そうその人が続けた。 それを聞いた瞬間、涙が零れた。 そんな俺の頭をよしよしと撫でてくれて 「一緒に来る?」 と聞かれ今度はコクリと頷いた。 暫くして俺が落ち着くと その人は1軒のお店に俺を連れてきてくれた。 「ミラー、ジュ…?」 「そう、ミラージュって言うんだ。 さぁ、中に入って。」 と中に入るように言われて中に入ると… お洒落なカウンターと たくさんのお酒のボトルが目に入った。 どうやらBARのようだ。 「ここは僕のお店だから 好きな所に座ってゆっくりしていいよ。」 って俺に言ってその人は何かを作り始めた。 俺はとりあえず近くの席に座って その人が何かを作っているのを眺めた。 なにやら飲み物…いや、お酒?カクテル? あっという間に出来上がり 俺の前にはキラキラの飲み物が置かれた。 「あの…俺、まだお酒は…」 「それ、ノンアルコールだから大丈夫だよ。」 そう言われ1口飲んでみる。 「!美味しい…」 「そう? 気にいってもらえたみたいでよかった。」 優しい笑顔とキラキラの飲み物。 それが円さんとBAR Mirageとの出会いだった。

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