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《2》
「なぁ、おじさんって!」
「うるせぇな、聞こえてる」
「聞こえてんなら返事位しろよ!何処行くのかって聞いてんだろ!?」
おじさんは、面倒臭そうに溜息を吐いて俺を一瞥する。
確かに迷惑を掛けている身分としては、面倒事に巻き込んでしまって申し訳ないと思う。
とはいえ、自分の生活が掛かっているのだ。
聞く権利位は主張したって罰は当たらないだろう。
「お前には、これから俺の知り合いの家で生活してもらう」
「知り合い?」
「そうだ」
おじさんの言葉の意味が分からず、俺の思考は一瞬停止する。
そして、時間をかけてその言葉の意味を理解した俺は、涼しい顔をして隣りで運転をしているおじさんを凝視した。
「…………む、無理っ!!無理だって!!」
秋人おじさんの知り合いなんて、今まで会った事もなければ、話に聞いた事も無い。
そもそも、自分が赤の他人と生活が出来るなんて思えない。
予想外の答えに、俺は慌てて首を振った。
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