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《3》
騒ぐ俺を、おじさんはチラリと一瞥する。
「………お前、最近暴れ回ってるらしいな?」
「へ?」
唐突なおじさんの言葉に、俺の口からは間抜けな音が漏れる。
「有名だぞ、南高の小野部には気をつけろってな。実際、俺の学校の生徒の中にも、お前に病院に送られた奴が何人かいる。意味、分かるよな?」
秋人おじさんは教師だ。
引っ越しと同時に、俺の通う学校も秋人おじさんの勤めている藤ノ宮東高校に転校する事になっていた。
「だ…って、それは全部向こうからふっかけてきた喧嘩で…」
自分から仕掛けた覚えは一度も無いと言い訳しようとすると、遮られる。
「まぁ、お前も男だ。喧嘩するなとは言わないが、見つからない様に上手くやれ。でないと、俺もお前も路頭に迷う事になる」
「…………」
おじさんの言葉に、返す言葉が見つからなかった。
これからは、俺が問題を起こせば秋人おじさんに迷惑が掛かるんだ。
そう自覚すれば、急に気持ちが沈み込む。
おじさんがいなければ、自分は今頃学校を辞めて働かなければいけなかった。
勿論、そうするつもりでいたけれど、おじさんに高校だけは卒業しろと言われて、学校を続けさせて貰える事になったんだ。
俺だって、おじさんにこれ以上迷惑は掛けたくなかった。
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