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《2》

そこに居たのは、黒髪の美少年だった。 鼻梁の通った綺麗な顔は、作り物の様に整っている。 まるで、テレビで見る芸能人の様だと思った。 所謂イケメンというのは、こういう人の事を言うのだろうと、妙に納得した。 いくら色恋沙汰に疎い自分でも、この美形の少年が女の子にモテそうだという事は一目で解る。 「秋人さん!お待ちしていました、どうぞ上がって下さい」 「いや、これからちょっと用があってな」 おじさんが俺の肩を叩く。 「良次、こいつが話していた利久だ。見た目はこんなんだが、悪い奴じゃないから、頼むな。クラスもお前と一緒だから、悪いが面倒見てやってくれ」 「はい、僕でお役に立てるなら何でも仰って下さい」 良次と呼ばれた少年は、綺麗な顔でにっこりと微笑む。 この家の子なのだろうか。 俺がこの家に厄介になるかは置いといて、取り敢えず優しそうな子で良かったと胸を撫で下ろした。

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