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《4》
二人きりになった途端、沈黙が訪れる。
き、気まずい………。
普段、他人と関わる事が少ない俺は思考をフル回転させる。
な、何か話さなきゃ…。
そう、挨拶だ!
挨拶しとかなきゃ!
そう思い至り、俺は慌てて美少年に向かい合う。
「あ、あの…、よ、よろしくお願いします…」
こんな厳ついなりをした自分が話し掛けては恐がらせてしまうかもしれないと、なるべく威圧感がない様に精一杯頭を下げる。
だが、
頭を下げた俺の横を、大和良次はまるで誰も居ないかの様に通り過ぎていく。
「え?」
まさか、無視されるとは思っていなかった俺は、何が起こったのか分からず頭を下げたまま動けないでいた。
玄関に入る前に、良次がこっちを振り向いた。
そして、俺に向かって、
「何、ボーッと突っ立ってんだよ。早く入れよ」
そう、冷たく言い放った。
まるで別人の態度に、俺は耳を疑った。
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