12 / 346
《5》
「言っておくけど、秋人さんの頼みだから仕方なく最低限の面倒は見てやるけど、干渉する気は無ぇし、お前と宜しくするつもりもねぇから」
綺麗な顔から放たれた冷たい声に、崖から突き落とされた様な気分になる。
な、なんだこいつ…。
さっきの秋人おじさんに対しての態度と違いすぎねぇか!?
こんな二面性のある奴と、一緒の家で暮らすなんて絶対無理だ!!
頭にきてぶっ飛ばすのも時間の問題だ…。
こうなったら、ここは穏便にこの家の人に頼んで、秋人おじさんに迎えに来て貰おう。
クラスも一緒って、さっきおじさんが言ってたし、コイツに直接言って波風立てるのはマズイ。
「あ、あの、この家の人は…?」
「は?」
『何言ってんだ、コイツ』と言わんばかりの良次の訝しげな顔に、不思議に思う。
「いや、その、挨拶しねぇとって思って…」
「お前、秋人さんから何も聞いてねぇのか?」
「へ?」
「この家に住んでるのは、俺一人だ」
良次から言われた言葉に、目の前が暗くなるのを感じた。
ともだちにシェアしよう!