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《5》

「言っておくけど、秋人さんの頼みだから仕方なく最低限の面倒は見てやるけど、干渉する気は無ぇし、お前と宜しくするつもりもねぇから」 綺麗な顔から放たれた冷たい声に、崖から突き落とされた様な気分になる。 な、なんだこいつ…。 さっきの秋人おじさんに対しての態度と違いすぎねぇか!? こんな二面性のある奴と、一緒の家で暮らすなんて絶対無理だ!! 頭にきてぶっ飛ばすのも時間の問題だ…。 こうなったら、ここは穏便にこの家の人に頼んで、秋人おじさんに迎えに来て貰おう。 クラスも一緒って、さっきおじさんが言ってたし、コイツに直接言って波風立てるのはマズイ。 「あ、あの、この家の人は…?」 「は?」 『何言ってんだ、コイツ』と言わんばかりの良次の訝しげな顔に、不思議に思う。 「いや、その、挨拶しねぇとって思って…」 「お前、秋人さんから何も聞いてねぇのか?」 「へ?」 「この家に住んでるのは、俺一人だ」 良次から言われた言葉に、目の前が暗くなるのを感じた。

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