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《6》
「可愛い女の子だったら役得だと思って引き受けたけど、まさかこんなむさ苦しいのが来るとはな…」
「…………」
「まぁ、男の一人暮らしの家に女の子はねぇか。あ、この部屋自由に使っていいから」
正直、帰りたい。
こんな立派な家なんかじゃなくて、住み慣れたボロアパートに帰れるものなら帰りたかった。
「ああ、それと…」
大和良次は、俺に向き合うと馬鹿にした様な視線を寄こす。
「その脱色しまくってる髪、良かれと思ってやってんなら、頭悪そうだから辞めた方が良いぜ」
コイツ……ぶん殴りたい。
いや、
つぅか、限界っ!!
「テメェ………、さっきから人が下手に出てりゃ調子こきやがって!!」
胸倉を掴んで睨みつけるが、大和良次は鼻で笑う。
「はっ、見た目通りの単細胞だな。殴りたきゃ殴れば?…でも、お前、行く所ねぇんだろ?」
その言葉に、俺は固まった。
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