16 / 346
《2》
前の学校は、見るからに不良というか、素行のあまり良くない奴らが結構居た。
だけど、転校先の学校では、それらしき人種があまり見当たらない。
その所為か、校門をくぐる前から、やたら視線を感じていた。
良次が言う様に、この派手な頭の所為かもしれない。
それは、担任に案内されて教室に入った時もそうだった。
「転校生の小野部利久君です。色々分からない事があると思うので、皆さん教えてあげてくださいね」
皆ヒソヒソと小声で話しながら、こっちを見ている。
完全に浮いている。
転校生なんて、大体浮くんだろうけど、
多分、それを差し引いても自分は良くない意味で目立っている様だった。
「えぇと、小野部の席は……」
「先生、僕の隣りが空いています」
すっと手を上げて微笑む良次と目が合い、反射的に口元が引き攣る。
最初こそ綺麗な笑顔だと思っていたその表情は、最早胡散臭さしか感じない。
「じゃあ、小野部の席は大和の隣りだな」
嫌です。
何て、言える訳もなく、俺は言われた席に大人しく座った。
ともだちにシェアしよう!