良次の奴は学校ではクラス委員長をしていて、絵に描いた様な優等生だった。 おまけにあの容姿だ。 女子にかなり人気がある様で、女子がキャーキャーと黄色い声で騒ぎ立てているのが嫌でも耳に入ってくる。 とりあえず、今日一日学校についての説明をされながら、良次と一緒に行動して分かった事は、 良次が先生にも、あからさまに良次に媚びてる女共にも、クラスで陰の薄い奴にも分け隔てなく丁寧に接している。 という事だった。 俺に対してだけ、何故あんな態度なのかは分からないが、不愉快な事に変わりはない。 そして、転校してきた俺に対しては、誰も警戒して近づいて来なかった。 まぁ、前の学校でも似た様なものだった。 よく喧嘩をしては停学を食らっていたし、 “小野部利久と目が合うと殺される” なんて噂が学校だけじゃなく、他校にまで広がっているのは、何となく知っていた。 別に、自分から喧嘩を仕掛けた事は、記憶の限り思い当たらない。 全部、勝手に向こうが喧嘩を売ってきて、それを全部買ってたらいつの間にかそんな事になっていただけの話だ。 まぁ、誰かとつるむとか面倒臭ぇし、どうでも良いんだけど…。 あんま、問題事は起こさねぇ様にしねぇと…。 でないと、この学校で働いている秋人おじさんに迷惑が掛かってしまう。 幸い、この学校ではあまり素行の悪い生徒は見かけなかったから、校内では揉め事を起こさなくて済みそうだと胸を撫で下ろした。