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《6》
結局、呆れ顔の良次に、良次の携帯番号が書いた紙を渡された。
携帯を持っていないだけで、あんな顔をされるなんて思ってもみなかった。
携帯って皆持ってんのか?
無くても全然困った事ねぇけど…。
首を捻りながら、自分の部屋に戻る。
「あ、あれ…?」
ふと、そこで、ぬいぐるみが無い事に気づいた。
「な、何で………!?」
慌てて、探すけれど閑散とした部屋にぬいぐるみが無いのは明らかで慌てる。
昨日、疲れて寝てしまう前までは確かに抱いていたし、朝、良次に汚いと指摘された時もまだこの部屋にあった。
「何で無いんだ!?」
慌てて、階段を降りてリビングに行くと、良次がソファで本を読んでいた。
バタバタと俺が降りてきたので、不機嫌そうに睨まれる。
「うるせぇな…。静かに降りて来いよ」
「わ、悪い…、な、なぁ、俺のぬいぐるみ知らねぇか?」
「はぁ?あの、ボロ雑巾みてぇなクマか?」
「あ、ああ」
「朝、捨てた」
「え………………?」
良次の言葉の意味が一瞬理解できずに、聞き返した。
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