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《4》

良次の言動が理解できずに首を傾げる。 さっきの会話の意味をぐるぐると考えているうちに、良次がトレイを持って部屋に入ってくる。 「?」 「リゾット位なら食えるだろ」 「…え?」 深い器に入った温かい湯気の匂いに誘われて、器を受け取る。 中を覗くと、良次の言う様にリゾットが入っていた。 良次の顔を見れば、早く食えという様に良次が顎をしゃくる。 「あちっ」 「…ふ、お前猫舌?」 「な、何が可笑しいんだよ…」 吹き出した良次にムッとしつつ、ふーふーとスプーンの上のリゾットに息を吹きかけてから、再び口に運ぶ。 温かくて、美味しい。 ファミレスや、コンビニ弁当以外の温かい食べ物なんて何時ぶりだろう…。 スプーンで口へリゾットを運びながら、はたと、疑問が浮かぶ。 「これ…、お前が作ったのか…?」 「作ったなんていう大層なもんじゃねぇだろ」 何でも無い事の様に言われ、素直に感心する。 イケメンは、みんな男でも料理も出来るのだろうか。 良次が用意してくれたリゾットを食べながら、もうベットから出ようとしていたのに、完全に出るタイミングを失ってしまったなと思う。 「いくら馬鹿でも、夏も終わりに川で溺れりゃ、風邪ひくんだな」 風邪じゃねぇんだけど………。 ただ、ベットが気持ち良くて爆睡してしまったなんて言える雰囲気では無くて、俺はリゾットを口に運ぶのに専念する事にする。

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