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《5》
飯を食い終わって、ようやく俺は良次のベットを抜け出した。
昨日もそのまま寝てしまったから、シャワーを浴びる為に服を脱いで浴室へと入る。
母さんと暮らしていたボロアパートには風呂はついていなかったから、前は銭湯に通っていた。
だから、いつでも好きな時間に風呂に入れるなんて、凄く贅沢な気がした。
コックを捻ると、温かいお湯が肌を打つ。
シャワーを浴びながら、頭に浮かぶのは良次の事だった。
正直、良次は嫌な奴なのか…、良い奴なのか分からない。
嫌味な事を言ってきたり、酷い事をしてくるのに、
時々、酷く優しい。
二面性があるとは最初から思っていたけど…。
どちらが本当の良次なのか、分からなくて混乱する。
ふと、思う。
良次は、この広い家にいつから一人で暮らしているのだろう?
掃除や洗濯や料理も、全部一人でやっているのだろうか。
自分と同じ様に、家族がいないのだろうか。
だとしたら、寂しくは無いのだろうか…?
色々な疑問が頭を過ぎる。
聞いても良いのだろうか?
まだ、そこまで踏み込んで良いのか分からなかった。
だけど、次第に良次と仲良くなりたいという思いが芽生え始めていた。
そんな事を考えていると、急に浴室のドアが開いた。
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