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《8》*
「や、嫌だ…!」
「口で嫌がってる割に、ここ、滑ってる」
「………ゃ、言う…な…」
「男に擦られて気持ち良いのかよ?」
「違うっ、違っ……くっ、ふっ…」
まるでペニスの状態を分からせる様に、先走りを塗りつけられて上下に数回扱かれる。
くちくちと耳を被いたくなる音が、浴室に響き渡る。
それに耐えられなくて顔を伏せた。
だけど、すぐに良次に顔を上げさせられる。
「顔、見せろよ」
「や…」
「お前、今、自分がどんな顔してるか分かるか?」
分かる訳もないし、知りたくもない。
嫌がらせで男に身体を弄られて、それで身悶えている姿なんて…。
良次が、何故自分にこんな事をするのか理解出来なかった。
「利久…」
だけど、
低く囁かれて、
何故だか胸が締め付けられる。
こんな酷い事をする癖に、名前を呼ぶ声が優しかったからかもしれない。
「あぁっ……!」
良次にペニスを扱かれて、俺は
呆気なくその手の中に射精した。
肩で息をする俺に、良次は俺の濡れた髪を掻き上げて、観察でもするかの様にジッと見つめてくる。
涼しいその顔に、無性に腹が立った。
「出てけ…」
自分でも声が震えているのが分かる。
あまりの格好の悪さに、泣きたくなった。
「出てけよっ!!」
良次の身体を突き飛ばせば、良次は拍子抜けする位、素直に浴室から出て行った。
ズルズルと浴室の壁を背中が滑り、床に座り込む。
こんな嫌がらせをされる程に、この短い数日で良次に嫌われてしまったのかと悲しくなった。
優しくされて、仲良くなれるかもと期待する度に落とされて、どうしたら良いのか、もう分からなかった。
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