69 / 346
《2》
立ち上がろうとしても、足に力が入らず、身動きが取れない。
まるで下半身が鉛の様に言う事を聞かない。
「大丈夫か?」
「へ?え?」
「昨日、無理させたからな…」
「あ…」
これも昨日の情事の所為だと気づいて、一人で赤面する。
昨日の夜から朝方にかけて、良次を後ろに受け入れて、何度も達した。
腰を掴まれて、何度も何度も揺さ振られて。
昨日の良次は、まるで手のつけられない獣の様だった。
もう許してくれと、何度も快楽に啜り泣きながら頼んだけど、良次は許してくれなかった。
それどころか、恥ずかしい言葉を何度も言わされた様な気がする。
最後の方は朧気だけれど、信じられない程に淫らな記憶が蘇る。
「こ、この変態…!あ、あんな好き勝手しやがって…!」
羞恥と怒りでワナワナ震えながら睨めば、良次が苦笑いする。
「悪かった…、その、あんまりお前が淫乱で可愛いかったから…、止められなかった」
鈍器で頭を殴られた様な気分だった。
淫乱…。
あまりと言えばあまりな台詞に、酷い羞恥で泣きたくなった。
「へ、変な事言うなっ!」
カスカスの声で怒鳴る俺に、良次は大袈裟に肩を竦めてみせる。
「ベット戻るか?」
良次の言葉に、一瞬考えて途方に暮れる。
一人では、ベットに戻る事さえ出来そうに無かった。
ともだちにシェアしよう!