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《2》

立ち上がろうとしても、足に力が入らず、身動きが取れない。 まるで下半身が鉛の様に言う事を聞かない。 「大丈夫か?」 「へ?え?」 「昨日、無理させたからな…」 「あ…」 これも昨日の情事の所為だと気づいて、一人で赤面する。 昨日の夜から朝方にかけて、良次を後ろに受け入れて、何度も達した。 腰を掴まれて、何度も何度も揺さ振られて。 昨日の良次は、まるで手のつけられない獣の様だった。 もう許してくれと、何度も快楽に啜り泣きながら頼んだけど、良次は許してくれなかった。 それどころか、恥ずかしい言葉を何度も言わされた様な気がする。 最後の方は朧気だけれど、信じられない程に淫らな記憶が蘇る。  「こ、この変態…!あ、あんな好き勝手しやがって…!」 羞恥と怒りでワナワナ震えながら睨めば、良次が苦笑いする。 「悪かった…、その、あんまりお前が淫乱で可愛いかったから…、止められなかった」 鈍器で頭を殴られた様な気分だった。 淫乱…。 あまりと言えばあまりな台詞に、酷い羞恥で泣きたくなった。 「へ、変な事言うなっ!」 カスカスの声で怒鳴る俺に、良次は大袈裟に肩を竦めてみせる。 「ベット戻るか?」 良次の言葉に、一瞬考えて途方に暮れる。 一人では、ベットに戻る事さえ出来そうに無かった。

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