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《5》
「も…、お前、喋るな…」
黙っていれば、イケメンなのに…。
俺の所為…かは知らないけど、かなり頭が湧いた言動を繰り返す良次に、こっちの方が恥ずかしくなってくる。
新たに知ってしまった良次の一面に、心の中で頭を抱える。
セックスして、
まるで女の子みたいに扱われて。
嫌な筈なのに、優しくされて嬉しいなんて。
こんなのは、おかしいって分かっているのに、
胸が、痛い…。
きっと、こんな風に愛を囁かれたり、好意を向けられた事なんて無いから、戸惑っているんだ。
でなければ、男である良次とセックスまでして、嫌悪感を抱いていない事の説明がつかない。
自分は、ホモでは無いのだから。
「好きだよ、利久」
何故良次は、こんなにも真っ直ぐに目を見て、そんな恥ずかしい台詞が言えるのだろう。
直視出来ずに、目を逸らすと良次に顎を指先で掬い上げられキスをされる。
「ん…ふぅ」
舌を絡め取られて、唇からはくぐもった声が漏れた。
こうやって、蕩かされて、訳が分からなくなっていく。
ただ、良次にされるがままに、舌を絡め取られて、目を閉じた。
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