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《11》

「洗うだけだって言った…」 「言ってない」 恨みがましい目でじっとりと良次を睨んだ。 俺の言いたい事を察した良次が、淡々と答える。 「俺は綺麗に後始末するって言ったんだ。襲わないとは言ってない」 口で良次には敵わないので、早々に諦める。 あの後は散々犯され、ただでさえ言う事をきかなかった下半身は、完全に死んでいる。 良次が果てた後も、今度は中に出された良次の精液を掻き出す為に、指で奥を掻き回された。 何故自分がこんな恥ずかしい思いをしなければいけないのかと、泣きながら指の動きに耐えて悶えていた。 必死に我慢したのに、途中でまた良次に襲われかけて、精一杯抵抗した。 絶倫すぎて、正直良次に恐怖さえ感じ始めている。 その後は、不本意だけど良次が洗ってくれて、またベットに運んでくれた。 「嫌だった?」 「……そうじゃ、ない…、けど…」 男なのに、こんな風に 犯されたり、優しく扱われたりするのは、プライドにバリバリ傷がつく。 元々、大したプライドなんて持ち合わせてはいないけれど、それでも男としてのプライドはあるつもりだ。 「なら、良いじゃねぇか」 「あ、あのなぁ~…!」 「おいで…」 「っ…」 ベットの中で、良次に引き寄せられる。 良次に優しくされると、頭がふわふわして、心臓が痛い…。 痛いから嫌なのに、心のどこかでもっとと思っている自分がいる。 こんなの…、おかしい…。 このまま、良次の言う通り、良次の事を好きになれたら良いのにと思う。 こんな風に、大事に扱われて、自分を必要としてくれる良次を好きになれたらと…。 そう、思うけれど。 自分は男で、良次だって男だ。 簡単に好きになれる訳が無い。 それなのに、体を抱き寄せられて、 「可愛い、好きだよ」 そう囁かれれば、溶けてしまいそうな位、甘く胸が高鳴った。 こんな感情の名前を何と言うのか、 俺は知らない。

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