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すれ違い《1》
良次と一緒に飯を食って、一日ゆっくり休んだ。
休んでいる間も、良次は俺の世話を焼きたがる。
良次がやけに優しくて、…調子が狂う。
最初のあの嫌味で冷たい良次は何処に行ってしまったのだろうか。
不意に、玄関のチャイムが鳴った。
それと同時に、今まで明るかった良次の顔色が変わる。
不思議に思い、良次を見れば、良次がやれやれと溜め息を漏らした。
「誰か来たのか?」
「まぁ、誰にしても、ろくな用事じゃねぇだろうな。利久は、ここで待ってて」
「あ…ああ」
良次にはそう言われたけれど、玄関に向かった良次が気になって、起き上がる。
日中休んだおかげで、何とか動けそうだ。
階段を下りて行くと、何だか玄関が騒がしかった。
「ねぇ!良次!別れたいってどういう事よ!?」
聞こえてきた甲高い声とその内容に、思わず息を飲んだ。
「一方的に電話で言って、後は無視って有り得ないんだけど!?」
「ごめん、美華ちゃん。俺、もう君とは付き合えない」
玄関には、良次と、それと…、凄くスタイルが良くて、美人な女性が立っていた。
良次の言葉に美華と呼ばれた女の子の顔が更に険しいものに変わる。
「私、良次が他にも何人も彼女がいる事知ってる…。知ってて、それでも良いから、良次と付き合ってたんだよ」
身体が指先から冷えていく様な気がした。
「良次だって、美華と一緒にいると楽って。美華は分かってくれるから特別だって言ってたじゃない!?」
「ごめん」
「ごめんじゃ分からないよ!?美華の何がいけないの!?」
「違うよ、俺が悪いんだ」
美男美女が別れ話をしているのは、まるでドラマの中の出来事の様だった。
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