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《3》
「変な事言うなっ…!」
「あれ?違うの…?じゃあ、良次が初めての男?良次綺麗だもんね~。あいつ、男女問わずモテるんだよね。本人は男なんて御免だろうけど…」
妙に詳しい様子で話す優に、得体のしれない恐怖感を感じる。
「お前…、誰だ…?」
「俺は折原優って昨日自己紹介したじゃん」
「そうじゃなくてっ!!」
苛立って怒鳴ると、優も立ち上がる。
思わず後ずさると、優がツカツカと近づいてきて、更に後ろへ下がる。
「ああいう完璧な奴ってさ、ムカつかない?何でも手に入るし、それが当たり前だと思ってるんだぜ?」
「お前…」
「唯一手に入らなかったもの、横取りされたら、良次はどんな顔するだろうね」
優の手が、俺の頬を撫でた。
あまりの気色悪さにその手を払いのける。
「何のマネだよ…っ!?」
「良いじゃん、あんな女たらしやめてさ、俺と遊ぼうよ」
「な…、何言って…」
トンー
背中に固い感触がして、もう一歩も後ろに下がれない。
壁に追い詰められた事に気づいて、冷や汗が溢れた。
「あの女好きが夢中になる位に、アンタの具合が良いって事でしょ?」
下品な言い回しに吐き気がする。
だが、そんな事にはお構いなしに、優の指が俺の腕と肩に絡みついてきた。
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