94 / 346
《6》
バキッー
けたたましく乱暴にドアが開く音がし、すぐ後に、鈍い音がした。
驚いて目を開けると、優が吹っ飛び床に倒れ込む所だった。
「テメェ…!優っ!!何してやがるっ!?」
そこには、見た事の無いブチ切れている良次の姿があった。
良次が優を殴ったのだと理解した時には、良次は優に馬乗りになって、更に殴ろうとしている所だった。
慌てて良次の身体を押さえる。
「良次!よせっ!」
「うるせぇ!お前は下がってろっ!このクソ野郎を、ぶっ殺してやる!」
「り、良次!何にもされてない!何にもされてないからっ!」
本当に優を殺しかねない良次の勢いに、必死で優から良次を引き剥がす。
騒ぎにしたくなくて、優の言いなりになっていたのに、当の良次が暴力沙汰を起こしたのでは元も子もない。
「ってぇーっ!り、良次っ!待て!話せば分かるっ!」
「うるせぇぇっ!!!!テメェ、利久に何しやがった!?」
「本当に、何もされてないって!」
「そんな恰好で何もねぇ訳ねぇだろ!!」
恰好…?
自分の恰好に目をやれば、衣服が開けている。
そういえば自分でボタンを外したんだったと思い出す。
「ハハッ…、小野部の事、超大好きじゃん」
「何笑ってんだ、コラァッ!!」
「良次!」
優と2人で、何とか暴れる良次を押さえつけた。
ともだちにシェアしよう!