95 / 346

《7》

「いや~、小野部が力持ちで助かった~。マジで殺されるかと思ったわ~」 「何考えてんだ、お前」 相変わらず優はヘラヘラと笑っていた。 ようやく落ち着いた良次が、吐き捨てる様に呟く。 「良次、何でここに…?」 ずっと学校を休んでいた良次が、タイミング良くこの場所に来てくれたのが不思議で首を傾げる。 「この馬鹿が御丁寧にメールしてきやがったんだよ」 「メール?」 「ここの場所と、あとモタモタしてたら、小野部の事俺が貰うねってメールしたんだよね~」 「はぁ!?」 「まぁ、実際はもうちょい際どい内容だったけどね」 一体どういう事なのか、さっぱり訳が分からない。 「小野部の事好きなら助けに来るだろ?」 「女好きのお前が、男を襲うとか何の冗談かと思ったけどな。来てみりゃこんな事になってるし、とうとう気でも触れたかと思ったわ」 「相変わらずキッツいよね~。学校で良い子ちゃん演じてるお前見てると、吐きそうなんだけど」 「はっ、馬鹿の癖に下手な芝居しやがって」 「いやさ、だってこうでもしないと、アンタ、ずっとウジウジしてんじゃん?」 「だからってお前なぁ…」 さっきの剣幕が嘘の様な慣れた2人の会話に、更に頭が混乱した。

ともだちにシェアしよう!