96 / 346

《8》

「どういう事だよ…?」 まだ一人、状況を飲み込めなくて、良次と優の顔を交互に見回す。 「俺、良次とは幼馴染みでさ、親友なの」 「親友!?」 「そ、小野部はもう知ってるみたいだから言うけど、コイツがリーダーのグループに俺も入ってたりなんかしちゃったりして」 「おい!学校でその話はよせ」 良次に注意されて、優がわざとらしく肩を竦める。 だから、良次の裏の顔の事も知っていたのかと納得した。 「じゃ、じゃあさっきのは…?」 だとしたら、何故自分は襲われかけたのだろう。 「いや~、コイツがさ、この世の終わりみたいな顔して俺の家に来てさ。あ、家に帰ってない間は、俺の家に泊まってたんだけどね」 「おいっ!」 余計な事は言うなという風な良次には構わずに、優が続ける。 「あの俺様が珍しく落ち込んでるから、問いただしたら、男にフラれて顔も見たくないとか言われたなんて言うから、もう大爆笑?ザマミロって感じ?」 「殺すぞ」 「いや、だって、女癖悪いお前が、まさか男に手ぇ出して、フラれて、死ぬ程ダメージ受けてんだもん。何の因果奔放かと思うじゃん。あの時、やっぱ神様っているんだなーと思ったね、俺は」 「因果奔放じゃねぇ、因果応報だ。馬鹿」 テンポの良い2人のやり取りに、ただ脱力する。 じゃあ、騒ぎになる事もないのかと、安堵の息を吐いた。

ともだちにシェアしよう!