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《2》

良次の家に女の子が押し掛けてきた、あの日。 正直、他に彼女が居ても別れたくないというあの女の子の気持ちが分からなかった。 だけど、 今は分かる。 好きな人の傍に居たいと思う気持ちが。 痛いくらいに。 だから、少しでも。 良次が少しでも哀れに思ってくれたらと思った。 惨めな自覚はあったけれど、そうまでしても、良次の傍に居たかった。 「そんな事、言うな…」 悲しげな良次の表情に、突き放されたのではないかと不安になる。 「悪いのは俺だけど、遊びでも良いなんて、そんな事言わないでくれ…」 良次に優しく頭を撫でられて、少し安堵した。 「利久…、落ち着いて俺の話を聞いて欲しい」 「う…ん」 「正直、お前に出会うまで、俺は真面目な恋愛なんてして来なかった。優に女癖が悪いって言われる位には、女関係も派手だった」 「…」 「だけど、お前と出会って、お前の事を好きになって、初めて一人を大切にしたいと思ったんだ」 真剣な良次の表情に心臓が跳ねる。 こんな時なのに、良次があまりに整った顔をしているから。 見つめられると、頬が熱くなる。 「こんなに強く、誰かに惹かれた事は初めてで、それに舞い上がって。お前の気持ちを無視して、随分強引に色々しちまったとは思ってる」 黙って良次の話を聞く事しか出来なかった。

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