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《5》
自分だって、そこまでムキにならなくても良い事だと分かってる。
だけど、自分でも抑えられなかった。
良次に見窄らしいと思われているんじゃないかと急に恥ずかしかった。
それに、同い年で同じ男なのに、自分は良次に返せる物が、何も無い。
そんなつもりじゃないのに、良次を利用している様な気持ちになって、悲しくなった。
「こんな事して欲しくて、俺はお前を好きになったんじゃねぇ!」
声を荒げる俺に、良次がギョッとした顔をする。
「と、利久…、ごめん、泣かないで…」
優しく引き寄せられながら囁かれて、俺は、いつの間にか泣いていた事に気がついた。
情けない。
良次が絡むと、泣いてばかりだ。
「俺は、正直お前が何で悲しんでるのか分からない。それが、すげぇ辛い…」
良次は、優しい。
俺の事を、愛してくれている。
だけれど、二人が育った環境はあまりにも違いすぎて、愛情の表現が違う。
たったそれだけの事が、酷く、悲しい…。
「こんな事して欲しいから、家族になりたいって言ったんじゃねぇんだ…。これじゃ、俺がお前の事利用して物乞いしてるみてぇじゃねぇか…」
「…利久、そんなつもりじゃ無かったんだ…」
俺を宥める様に、良次が頭を撫でる。
「俺は、利久の事が好きだから、甘やかしてやりたいんだ」
「俺、男なのに…」
「そうだな。でも、女の子を大事にするみたいに、利久の事を守ってあげたいって思ってる」
自分を守りたいなんて、やっぱり良次は変だと思う。
良次よりもガタイの良い男の俺を、女の子みたいに扱う良次に戸惑う。
きっと、良次よりも力も喧嘩も強い自分を守りたいなんて。
だけど、不思議とその言葉は嫌じゃなかった。
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