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《2》

触れるだけで、すぐに離れていく良次の唇に、少しだけ寂しく感じる。 だけど、すぐに我に返って、良次の肩を小突いた。 「ば、馬鹿!こんな所で…!」 「夜だし、大丈夫だろ」 「大丈夫じゃねぇよ!こんなに明るいんだから…!」 周りは夜にも関わらず、人が溢れかえっている。 慌てて周囲を見回す。 幸い、誰もこっちを見てはいなかったけれど、ふと周りにいるのは男女ばかりだと気づいた。 「カップルばっかだな…」 ポツリと呟いた俺の台詞に良次が吹き出す。 「俺…、やっぱり場違いだ…」 自分にはこんな綺麗な場所は似合わない。 「何言ってんだ、俺達もそうだろ」 「あ…」 手を握られて、慌てる。 もし、誰かに見られでもしたらと。 男同士で手を繋いで歩いているなんて、目立つに決まっている。 ただでさえ、自分は図体がデカく見るからにヤンキーで悪目立ちする上に、良次は美少年なのだから。 組み合わせ的にも、違和感があるだろうし、何より良次は先程から女の子の熱っぽい視線を集めている。 一緒にいるだけでも、一体どんな関係なのかと奇異の目を向けられる。 それが、手なんて繋いでいたら余計に詮索されてしまいそうだ。 自分が可愛い女の子ならば、良次にそんな恥ずかしい思いをさせなくても良いのにと申し訳ない気持ちになる。 けれど、良次の手を振り払うには、あまりにも勿体なくて出来なかった。

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