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下心…?《1》

家に着いても、やっぱりさっきの事が気になって落ち着かず、俺はリビングで良次の服の裾を引く。 「お、俺…、全部は無理でも、少し払うよ…」 「いいって、その話はさっきしただろ?」 やっぱり申し訳なくて、そう切り出すけれど、良次は首を横に振る。 メニューには値段が書いてなかったし、そもそもメニューは日本語じゃなくて読めなかった 。 全部良次に任せてだったけど、きっと信じられない値段に違いない。 値段は恐くて聞けなかった。 「でも…」 「……………そうだな」 更に食い下がると、不意にニヤリと良次が笑う。 それに、ぞわりと背筋が痺れる。 何でか分からないけれど、良次の雰囲気が変わる。 綺麗なのに、口の端を吊り上げて不敵に笑うこの表情は…。 何か、やらしい事考えてる…? そんな感じがして、顔が熱くなる。 「りょ、良次…?」 「お前、まさか俺が何の下心も無しに貢いでるとでも思ってんの?」 「………?」 それまでの優しい表情とは打って変わって、意地の悪い笑みを浮かべる良次に、急に心臓が早鐘を打ち始める。 「男がやましい気持ちなしで、服プレゼントしたりする訳ねぇだろ。お前知らねぇの?」 「え!?」 良次の言葉に驚いた。

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