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《2》

「か~わいい反応しちゃって」 「変な事言うなっ!」  にやにやと馬鹿にした様な笑みを向けてくる優に苛立つ。 俺みたいなガタイの良い野郎が可愛いなんて、そんな冗談笑えない。 睨みつけると、優が大袈裟に肩を竦める。 「俺さ、お前に声掛けたり、飯持ってったりしたじゃん?」 「あ、ああ…」 良次と喧嘩した後、優が声を掛けて心配してくれた事を思い出し、頷く。 「あれさ、実は良次に頼まれたんだよね」 「え…?」 優の言葉に驚いて目を見開く。 「あいつが、何があったか白状した日にさ、お前の事頼まれたんだよね。お前の様子を教えて欲しいってさ」 「!?」 「小野部が真っ青な顔して、飯もろくに食ってなさそうだって伝えたらさ、大量の食い物渡されて、小野部に食わせてくれって頼まれたんだよね」 「良次が…?」 「自分は顔も見たくないなんて言われたから、小野部の前に顔出せなくて、それでも心配で俺に頼んだんだろうな。正直、アイツが俺に頭下げるなんて何の冗談かと思ったけど」 良次は、あの時も俺の心配をしてくれていたんだ。 それを知って、胸がキュウッと痛む。 良次の優しさが、とても嬉しかった。 「あー、その、ところでさ、話は変わるんだけど、小野部に確認したい事があるんだよね」 「確認したい事?」 「小野部ってさ……いや、違ってたら悪いけど…、もしかして…南高のお…」 「何をしてるんです?」 急に掛けられた声はかなり不機嫌だった。 声の方を振り返れば、そこにはいつの間に戻ってきたのか良次が立っていた。

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