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最強は誰?《1》
優の事は、良次が軽くあしらっていたけれど、気を付けなければと反省する。
俺との事がバレたら、きっと良次にとって良くないと思う。
帰り際、良次は学校の王子様なのだと話している女子の会話が耳に入ってきた。
王子様と身寄りもない自分とでは、まるで釣り合わないなと更に気持ちは重くなった。
そう考えていたのに。
家に帰ってすぐに、リビングのソファに押し倒されて慌てふためく。
「りょ、良次…!」
自分を好いてくれているのは嬉しいけれど、学校や外では気を付けなければと諭すつもりだった。
なのに。
「利久、やっとお前に触れられる」
そう囁かれると、嬉しいと感じてしまう自分がいる。
「学校でだって、触ってたじゃねぇか…」
苦し紛れに、そう言うのがやっとだった。
「あんなのじゃ、全然足りない」
切なげに言われれば、それ以上何も言えなくなる。
「俺…も、良次にもっと、触って欲しい…」
思わず漏れてしまった声に、しまったと一瞬思うけれど、降りてきた口吻に反射的に目を閉じる。
徐々に深くなるキスに、もう何も考えられず、俺はただ良次に身を委ねていた。
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