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《4》
「あーーーー!!!!」
急にと相原と呼ばれた奴が、俺を指差して叫ぶ。
それには俺も驚いたが、俺より近くにいた良次の方が驚いたようで、耳を押さえて相原に向かって怒鳴る。
「ん…だよ、うるせぇぞ!!」
「大和!コイツだよ!佐久間をボコボコにした奴!!」
「は…………?」
相原の言葉に良次が絶句し、固まる。
そして、勢いよく此方を振り返ると、俺の顔をマジマジと見つめる。
そんな良次の横から、相原はこっちを睨みつけてくる。
「おい!テメェ!佐久間はあの後骨折で入院したんだぞ!」
「知るかよ、誰だよテメェ…」
「なっ!?」
向こうは俺の事を知っている様だったが、こっちには見覚えは無い。
正直、ぶっ飛ばした奴の顔なんていちいち覚えていない。
そんな俺の態度が気に入らなかったのか、相原は今にも殴り掛かってきそうな勢いで身を乗り出す。
「待て…!」
相原を手で制して、良次は苦虫を噛み潰した様な顔で、再び俺の方を向く。
「お前が小野部利久…って…、マジか…」
「はぁ?何だよ、今更」
学校でだって、苗字で呼ばれているし、良次には普段から下の名前で呼ばれている。
俺の名前が小野部利久なんていうのは今更過ぎて、何の確認かと不思議に思う。
「名前も一緒で、こんな派手な金髪で厳ついの2人も3人もねぇわな…。完全に浮かれてて気付かなかったわ…」
「?」
「お前が南高の小野部利久だったのか…」
良次は、噛み潰す様に、そう呟いた。
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