132 / 346

《5》

良次の言葉に首を傾げる。 確かに、自分は南高に通っていたけれど、今は転校して 藤ノ宮東高校に通っている。 「はぁ?今はお前と同じ学校だろ?」 疑問をそのまま口にすると、良次はそれを肯定だと察した様だった。 「今は、な」 良次の眉間に皺が寄る。 そして、合点がいった様に俺を見て頷いた。 「お前、すげぇ有名だぜ。お前は噂とか疎そうだから知らねぇかもしれねぇけどな。グループによっちゃあ、お前を潰せば即幹部なんて景気の良い話もある位だ」 「……何だよ、そのすげぇ迷惑な話」 勝手に人を賞金首みたいにしないで欲しい。 通りで、やたらと知らない奴等に喧嘩をふっかけられていた訳だ。 「ちょっかいかけても手出ししてこねぇし、厳ついのは見た目だけかと思ってたが…。下手すりゃ殺されてた訳な」 自嘲気味に良次が吐き捨てる。 「大和!何でコイツがお前の家にいるんだよ!?」 良次に詰め寄る相原に、良次は深い深い溜め息を吐いた。 「はぁ、面倒くせぇ事になりやがった」 「良次…?」 溜め息を吐いて、額に手を当てる良次に、急に不安になる。 話の内容から、喧嘩でぶっ飛ばした奴の中に、良次のグループの一人がいたらしい。 しかも、そいつは怪我をして入院中だという。 グループのルールなんて、今まで単独行動をしてきた自分には分からない。 だけど、重苦しい雰囲気に、何となくヤバイって事だけは嫌でも分かった。

ともだちにシェアしよう!