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《5》
良次の言葉に首を傾げる。
確かに、自分は南高に通っていたけれど、今は転校して
藤ノ宮東高校に通っている。
「はぁ?今はお前と同じ学校だろ?」
疑問をそのまま口にすると、良次はそれを肯定だと察した様だった。
「今は、な」
良次の眉間に皺が寄る。
そして、合点がいった様に俺を見て頷いた。
「お前、すげぇ有名だぜ。お前は噂とか疎そうだから知らねぇかもしれねぇけどな。グループによっちゃあ、お前を潰せば即幹部なんて景気の良い話もある位だ」
「……何だよ、そのすげぇ迷惑な話」
勝手に人を賞金首みたいにしないで欲しい。
通りで、やたらと知らない奴等に喧嘩をふっかけられていた訳だ。
「ちょっかいかけても手出ししてこねぇし、厳ついのは見た目だけかと思ってたが…。下手すりゃ殺されてた訳な」
自嘲気味に良次が吐き捨てる。
「大和!何でコイツがお前の家にいるんだよ!?」
良次に詰め寄る相原に、良次は深い深い溜め息を吐いた。
「はぁ、面倒くせぇ事になりやがった」
「良次…?」
溜め息を吐いて、額に手を当てる良次に、急に不安になる。
話の内容から、喧嘩でぶっ飛ばした奴の中に、良次のグループの一人がいたらしい。
しかも、そいつは怪我をして入院中だという。
グループのルールなんて、今まで単独行動をしてきた自分には分からない。
だけど、重苦しい雰囲気に、何となくヤバイって事だけは嫌でも分かった。
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