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《6》
以前、同じ様に喧嘩で相手をぶっ飛ばした時に、そいつがどっかのグループの奴で、その仲間が大人数で仕返しに来た事がある。
その時は、数をバラしながら数人ずつ相手をして、何とか返り討ちにした。
だけど、人数が多かっただけにかなりヤバかった記憶がある。
もしかしたら、良次のグループも俺を探していたのかもしれない。
グループの一人が入院なんて事になれば、その相手を探し出して仕返しをと考えるのは別に不思議じゃない。
仲間なんていた事はないけれど、友達が危ない目にあったら助けるのは当たり前だし、目の前の相原が怒り狂うのも頷ける。
良次にとっても、俺は仲間を病院送りにした謂わば仇という事になるのだろう。
目の前の良次は、難しい顔で俺を見つめている。
俺をどうするのか、悩んでいるのだろうか?
本来なら、きっと俺を見つけ次第すぐにでも潰すつもりだったのだろう。
けれど、俺とこういう関係になった事で、迷いが生じている様だった。
「良次…?」
良次に近づいて、袖を引く。
もしかしたら、このまま離れなければいけないのだろうか?
やっとお互いに思いが通じて、これから一緒にこの家で過ごしていけると思っていたのに…。
今更、良次と離れるなんて耐えられそうもない。
だけど、良次には立場がある。
グループのトップなのだから、ここで俺を取り逃がせば、仲間にも示しがつかないだろう。
どうしようもなく不安で、良次を見下ろせば、良次は俺の手を取り、力強く握り返してきた。
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