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《7》
そして、良次は、俺の頭を優しく撫でる。
「お前、変な事考えてるだろ?」
「え?」
「俺は、お前を離さない。お前が別れたいっつっても、絶対だ」
良次の言葉に驚く。
そんなに顔に出ていただろうか。
これから、どうなってしまうのだろうかと、不安で仕方なかった。
もしかしたら、別れを告げられるのではないかと…。
だから、良次の言葉は素直に嬉しかった。
「俺は、お前が思ってるより、ずっとお前の事が好きだよ」
「良次…」
「お前も、俺の事好きって言ってくれただろう?」
良次の言葉に、頷く。
自分だって、良次の事が好きだ。
男同士だとか、釣り合わないとか、悩みは尽きないけれど、それでも良次と一緒にいたい。
良次の迷惑にはなりたくない。
だけど。
離れたく、ない…。
「だから、俺を信じて欲しい」
「え…?」
「俺の事、信じてくれるか?」
良次の言葉の意図は分からない。
けれど真っ直ぐに見つめられて、そんなのは決まっていると心の中で思う。
自分に自信がないせいで、不安になってしまう事はあるけれど、優しくしてくれる良次に、俺は完全に頼り切っている。
今更いらないと言われたら、それこそ立ち直れない位ダメージを受けてしまうと思う。
それ位、自分の中で良次の存在は大きくなっていた。
もう一度、大きく頷くと、良次は満足そうに笑った。
さっきまで怒り狂っていた相原が、ポカンと口を開けてそのやり取りを見ていた。
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