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《8》

「いつもの所だな?」 「へ…?」 呆気に取られていた相原が、良次の声に我に返る。 「すぐ行くから、あいつらに連絡しとけ。んで、お前もすぐ来い」 「は?え?ちょ…、コイツはどうすんだよ!?」 俺を指差して、相原が慌てる。 転校したから、俺の居所を突き止める事に苦戦していたのだろう。 やっと見つけた俺を逃してなるものかと、必死な様子だった。 「コイツも一緒に連れて行く」 「はぁ!?」 良次の言葉に、相原がギョッと目を見開く。 「お、おい…。マジで言ってんのかよ?コイツ、バケモンだぜ!?佐久間達5、6人を五分で全滅させた奴を、どうやって俺達2人で連れてくんだよ!?縄でもつけて連れてくのか!?」 相原の言葉に、思い出す。 そういえば転校前に5、6人のグループに絡まれた記憶がある。   その中の一人が、割と強かったから微妙に覚えている。 人数もいたし、手加減してやれなかったから、大きな怪我をさせてしまっていたのかと、納得した。 「んな乱暴な事するかよ。つうか、間違ってもコイツにそんな事しやがったら、俺がぶっ殺すぞ」 「はぁぁぁっ!?」 ますます訳が分からないという様な相原を一瞥すると、良次はニヤリと笑った。 良次が握った俺の手を引く。 「利久…、一緒に来い」 「え!?」 良次の言葉に驚いて、俺は思わず固まった。

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