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《9》

もう一度、腕を引かれて、思わずビクリと肩が震える。 予想外の良次の言葉の意図が分からない。 「お、俺も…?」 思わず聞き返せば、良次は面白い事でも思いついたかの様に含み笑いをする。 「俺に考えがある」 そう言い放つと、再び相原に視線を送る。 「今からコイツ連れて、皆の所行くわ」 そして、俺の事を相原に示してみせる。 「あと、コイツに手出すなって伝えとけ!」 「はぁ!?」 相原を外に追い出して、戸締まりをする。 訳が分からないと叫ぶ相原を置き去りにして、良次は俺の手を引いて車庫に移動する。 車庫の中から慣れた様子でバイクを引いて出てくると、それに跨がりヘルメットを投げて寄こす。 「乗れよ」 ヘルメットを渡されて、呆然と良次を見つめた。 バイクまで持ってるのか…? いや、そうじゃなくて…! 「な、なぁ…。やっぱり、俺が行くのはまずいだろ…」 さっきの相原の様子から、良次のメンバー内では、かなり俺への 恨みが募っている様だった。 その中に行くのは、いくら喧嘩慣れしていても、流石に勇気がいる。 大体、何人いるのかも検討もつかない。 俺のせいで怪我人が出て、グループ内で騒ぎになっているのは申し訳ないとは思うけれど。 良次が俺をその中に放り込むとは思っていないが、出来るならそんな中に行くのは遠慮したかった。

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