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《10》
「お前の居場所が相原にバレてる以上、このままにはしとけねぇだろ。さっきも言ったが、俺はお前を手放すつもりはねぇ」
ハッキリと告げられれば、胸はドキリと高鳴る。
良次は、俺と一緒にいたいと思ってくれている。
俺と、同じように。
だけど、さっきの相原の剣幕からは、事態は深刻だと感じた。
「それは…、俺だって、ここを出て行きたくないけど…」
だけど、自分がここに留まる事が出来る状況ではないのは分かっている。
モゴモゴと答えれば、良次に手招きされ、近づく。
腕を掴まれ、そのまま引き寄せられる。
「お前さ、何であの時殴らなかった?」
「あの時…?」
いつの事だろうと首を傾げると、良次が続ける。
「最初の時だよ…、お前の事からかった時もそうだし、何回か殴りかかってきそうな時があっただろ?でも、お前思いとどまったよな?……何でだ?」
言われて、出会った当初、良次に腹を立てた事が何度かあった事を思い出す。
「俺はてっきり厳ついのは見た目だけで、人も殴った事もないんじゃねぇかと思ってたが…」
良次が俺の顔をじっと見つめる。
「まさか、お前が南高の小野部だったとはな」
今、良次には自分はどう映っているのだろう。
不安で、思わず良次の視線から逃れる様に顔を背けた。
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