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Mobius strip《1》

良次のバイクの後ろに乗せられて、連れて来られた場所は、古そうな廃墟だった。 てっきり、この間の公園に行くのかと思っていた俺は、知らない場所に少しだけ不安になる。 廃墟の裏は広く拓けていて、そこに何十人もの少年達が集まっていた。 これが、所謂集会というやつだろうかとぼんやり思った。 この間、公園で見た人数より遙かに多い。 思っていたよりも多い人数に、良次に掴まる手に思わず力が入る。 その集団の真ん中に、良次がバイクを停めた。 バイクから降りると、俺達を囲んで辺りはざわめき立つ。 大勢の中で中心に近い位置にいるのが、三人。 白に近い金髪碧眼のハーフの様な細身の美少年、ウェーブがかった茶髪を長めに伸ばし気怠そうに座り込んでいる少年、長身黒髪で上下黒ずくめの少年。 勘だけれど、多分こいつらが良次に次ぐリーダー格だ。 反射的に身構えた俺を、後ろに庇う様に良次が前に出た。 「良次…」 「お前は何も心配しないで、そこで待ってろ」 良次が振り返って余裕の表情を見せる。 けれど、それを遮る様に三人の方から声が聞こえた。 「……何でお前が小野部利久と一緒にいる?」 三人のうちの黒ずくめの奴が、良次に詰め寄る。 「ソイツは、佐久間の仇だろう?」 忌々しそうに吐き捨てられた言葉に、周りがざわざわと騒ぎ始める。 “あいつが小野部利久か” そんな声が所々から聞こえてくる。 雰囲気は最悪だった。

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