140 / 346
Mobius strip《1》
良次のバイクの後ろに乗せられて、連れて来られた場所は、古そうな廃墟だった。
てっきり、この間の公園に行くのかと思っていた俺は、知らない場所に少しだけ不安になる。
廃墟の裏は広く拓けていて、そこに何十人もの少年達が集まっていた。
これが、所謂集会というやつだろうかとぼんやり思った。
この間、公園で見た人数より遙かに多い。
思っていたよりも多い人数に、良次に掴まる手に思わず力が入る。
その集団の真ん中に、良次がバイクを停めた。
バイクから降りると、俺達を囲んで辺りはざわめき立つ。
大勢の中で中心に近い位置にいるのが、三人。
白に近い金髪碧眼のハーフの様な細身の美少年、ウェーブがかった茶髪を長めに伸ばし気怠そうに座り込んでいる少年、長身黒髪で上下黒ずくめの少年。
勘だけれど、多分こいつらが良次に次ぐリーダー格だ。
反射的に身構えた俺を、後ろに庇う様に良次が前に出た。
「良次…」
「お前は何も心配しないで、そこで待ってろ」
良次が振り返って余裕の表情を見せる。
けれど、それを遮る様に三人の方から声が聞こえた。
「……何でお前が小野部利久と一緒にいる?」
三人のうちの黒ずくめの奴が、良次に詰め寄る。
「ソイツは、佐久間の仇だろう?」
忌々しそうに吐き捨てられた言葉に、周りがざわざわと騒ぎ始める。
“あいつが小野部利久か”
そんな声が所々から聞こえてくる。
雰囲気は最悪だった。
ともだちにシェアしよう!