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《3》

「いやー…、流石リーダー。まさか、あの最強の一匹狼と名高い小野部を手籠めにするとわね」 「いや、紫苑(しおん)。何普通に受け入れてるの。明らかにおかしいでしょ」 見た目同様に気怠そうな口調でそう言う茶髪に、美少年がすかさずツッコむ。 「何で?」 「いや、何でって…。どう考えてもおかしいでしょ、こんなでっかいの」 周りの視線が俺に突き刺さる。 紫苑と呼ばれた茶髪は、マジマジと俺を見つめ、首を傾げる。  「…小野部利久…って、女だっけ?」 「そのままの意味じゃないよ、紫苑」 「女の子にしては…、確かにちょっと大きめ…?」 「お前は眼科に行け」 良次もすかさずツッコむ。 何なんだ、この空間。 この空気は…。 もういっそ逃げ出したかった。 「気は確かか?」 「天皇寺…」 そんな中、黒髪黒ずくめの奴が良次に詰め寄る。 「アンタが女を取っかえ引っかえしようが、男に趣旨替えしようが、俺は興味はない。だが、小野部利久はマズい」 「………」 天皇寺と呼ばれた黒ずくめは、静かに俺を睨みつけた。

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