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《6》
「俺は乗るよ、それ」
「志水っ!!」
どんな心境の変化があったのかは知らないが、美少年は楽しげに笑って言う。
そんな様子を咎める様に黒ずくめが声を荒げた。
「いいじゃん、お姫様。あの小野部利久がお姫様ね、うん、面白い」
俺を見ながら言った美少年に、急に大勢の中から誰かが飛び出してくる。
「何が良いんだよっ!?全っ然、良くねぇよ!コイツのドコがお姫様だよ!?笑えねぇっ!!」
噛みついて来たのは、先程の相原だった。
恐らく全員が思っていただろう事を叫び、俺を指差す。
どうでもいいが、お姫様というワードを連呼しないで欲しい。
だが、それに優が冷ややかな目線を投げかける。
「うるせぇ、相原」
「っ」
「決めんのは、俺達幹部だ。テメェの意見は聞いてねんだよ」
悔しそうに顔を歪めた相原だったが、優に睨まれて、すぐに黙り込む。
良次と親しげに話していた相原だが、力関係では優よりも下らしい。
ヘラヘラしていた優が凄むと、その場の空気がピリつく。
そんな空気を変えたのは、またしても美少年だった。
「まぁ、天皇寺の意見も一理あるけれど、こうも考えられない?」
そう言って、そいつは全員の顔を見渡した。
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