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《8》

呆気に取られている俺に、良次が笑った。 「みんな、歓迎してんだよ」 「え?」 「お前は有名人だからな」 そう言われても、そんな自覚がない俺は、やっぱり不思議だった。 「Mebius strip(メビウスストリップ)へようこそ。小野部利久くん」 戸惑う俺に、美少年がそう言って笑った。 「メビウス…スト…?」 「俺達のチーム名だよ。通称メビウス。この名前を名乗る奴は小野部の味方だから、覚えておくといい」 瞬きを繰り返す俺に、優が教えてくれる。 「味方…?」 「そう、仲間って事だよ。勿論、俺もね」 そう言って、優が肩を抱いてくれる。 ー仲間ー 自分には、まるで縁の無い言葉だ。 だけど、不思議とその言葉に胸が熱くなる。 正直、他の良次の仲間が自分を本当に受け入れてくれるのかは分からないし、グループに入るなんていうのは、やっぱり抵抗がある。 けれど、言われた言葉のあまりの暖かさに泣いてしまいそうだった。 「小野部はグループの頭数じゃなく、あくまでリーダーの恋人として迎えるから、これからはしたくもない喧嘩なんてしなくても良いからな」 「優…」 何と応えて良いのか言葉が見つからない。 見上げた瞬間、優のその体は前のめりに倒れこんだ。

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