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《2》
利久の最初の印象は、頭が悪そう。
ただそれだけだった。
おまけに派手な金髪と単細胞ぶりは、見るからに自分はヤンキーだと言いふらしている様なものだった。
最近は、不良グループ同士の抗争も増えてきていたし。
もしかしたら、こいつも他グループに属してる奴かもしれないと思った。
だから、探りと牽制も兼ねて突っついてやった。
けれど、利久は腹は立ててはいる様ではあったが、誘いに乗ってくる事は一度も無かった。
それを理由に追い出しても良いかと思っていたから、些か拍子抜けした。
それどころか、ボロ雑巾の様なぬいぐるみがないと寝れないなんて言い出す始末だ。
見た目が厳つい癖に、随分な見掛け倒しの腰抜けかと内心見下していた。
だけど、
どこか放っておけなかった。
それは、俺が二人兄弟の長男で、その習慣からくる俺の庇護欲だったかもしれないし、
利久の魅力に、その時既に捕らわれていたからなのかもしれない。
気がつけば、利久から目が離せずに居た。
まだその時は、まさか自分よりもデカい男に恋愛対象として惹かれている等、夢にも思わなかった。
それに気づいたのは、利久を脅した時だった。
不思議と、利久には暴力やもっとえげつない方法を使おうとは思わなかった。
その時点で、既におかしかった。
それどころか、利久の羞恥に涙ぐみながらみせる不安げな表情や、艶めかしい声に、俺の方が酷く興奮していた。
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