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《2》

ふと、良次の方を見ると、優に蹴りを入れている所だった。  蹴りを入れられた優も、笑って良次を小突く。 会話の内容は、此処からでは聞こえないけれど、それを見て他のメンバーも笑っていた。 瞬間、ズクリと胸がざわめいた。 (あれ……?) どうしたんだろう。 何だか、胸が痛い。 自分の前の良次とも、学校での良次とも、違う顔を見せる良次に、訳の分からない不安感が胸に広がっていく。 俺…。 良次の事、何にも知らないんだ。 良次が家を出て行った時、良次の事を何も知らず、何の手掛かりさえも分からなかった。 多分、ここにいる皆は、良次とずっと付き合いが長くて、色んな事を共有しながら、友情を育んできたんだろう。 でも俺は、行く所がなくて、仕方なく良次の家に住む事になって、良次の事も最初は嫌な奴だと思っていた。 それなのに、急に好きになってしまって…。 きっと、普通の恋人になるまでの過程をすっ飛ばして、急激に惹かれてしまった。 沢山の仲間に囲まれている良次は楽しそうで。 知らない場所に、知らない人達。 知らない、良次。 自分が、酷く場違いに思えた。

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