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《3》
「お姫様…?」
「…あ」
呼ばれて意識を引き戻される。
心配そうな志水の顔を見て、話している途中だった事を思い出した。
「…顔色、悪いよ。大丈夫?」
「わりぃ…大丈夫…」
「そう…、それなら良いんだけど」
若干、疑わしげに志水は俺の顔を覗き込む。
「何か困った事があれば、言ってくれよ。良次程では無いけれど、お姫様の役には立てると思うんだ」
そう言って、志水は労る様に俺の背中をぽんぽんと叩いた。
何故志水がこんなに優しくしてくれるのかは分からなかったけれど、今は素直に有難かった。
「志水…」
そんな俺の心を見透かした様に、志水が口を開く。
「最初は驚いたけど、俺はお姫様の事を歓迎してるんだ」
「歓迎…?」
「そう、歓迎。実は、前から君のファンでね」
「お、俺の!?」
驚いて声がひっくり返りそうになる。
そんな俺の様子に、志水は楽しげに笑った。
「俺だけじゃない。他にも君のファンは沢山いるよ。小野部利久は有名人だからね」
志水の言葉に慌てる。
そんな話は初耳だ。
「俺、そんな大層な人間じゃねぇよっ!」
「俺達みたいに喧嘩に明け暮れてる人種は、大なり小なり強い者には憧れるものだよ。特に君はずば抜けてるからね」
そう言って、志水はまた笑う。
けれど、次の瞬間、志水の顔が真面目なものに変わった。
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