164 / 346

《4》

テーブルに並んだケーキは、どれも色とりどりでキラキラ輝いて見える。 可愛い見た目は、見ているだけで幸せな気持ちになる。 フォークで切り取れば、カラフルな断面が現れ、綺麗で幸せな溜め息がでた。 「いただきます!」 一口食べると、口いっぱいに複雑な美味しさが広がる。 クリームだけでも、何か沢山の物が入っているのか色んな味がする。 凝ったケーキの色んな味が、何なのかは貧乏舌の自分にはまるで分からないけど、とにかく甘くて美味しかった。 こんなに美味しい物が世の中にあるのかと思う。 ふと、感動しながら食べている自分を、良次がじっと見つめている事に気づく。 「あ…、良次も食えよ…って、俺が言うのも変だけど」 良次がお金を出して買ってくれたケーキを勧めるのは、いくら何でも図々しかったかなと思う。 だけど、良次は笑って首を横に振った。 「俺は甘い物はあまり得意じゃないから、利久が食べていいよ」 「でも…」 こんなに美味しいケーキを一人占めするのは、流石に罪悪感に苛まれる。 「甘いケーキを食べるより、幸せそうにケーキを食べてる利久を見てる方が俺は楽しいな」 「そう言われると、食いづらいんだけど……」 急に恥ずかしくなって、俺は残りのケーキを口の中に放り込んだ。

ともだちにシェアしよう!