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《6》*

何で…、こんな事に…? テーブルの上に押し倒された俺の服を、良次が剥ぎ取っていく。 射抜く様な良次の視線に貫かれると、まるで幼子の様に身動きが出来ない。 何故、自分は抵抗しないのだろう。  頭の片隅で、そう自問自答する。 ゾクゾクと背筋を這う感覚に、どこか自分が淫らな期待をしている事を知らされる。 抵抗出来ない俺を見下ろして、良次の形の綺麗な唇が弧を描いた。 「ひっ」 そして、良次はおもむろにすぐ傍にあるケーキのクリームを俺の裸の胸に塗りつけた。 クリームの冷たさに、肌が粟立つ。 信じられない良次の行動に、俺は驚いて飛び起きようとした。 けれど、強い力でテーブルに押し付けられる。 「な…、何考えて…!?」 「俺にも食わせてくれよ」 そう言って舌舐めずりする良次に、ゾクリと背筋に電流が走る。 まるで、獲物を狙う美しい野生動物の様だ。 その言葉が何を意味しているのか何となく理解して、俺はブルブルと震える。 「さ、さっき、いらないって言った…」 体温で、すぐに溶けかけるクリームを、良次が舌で舐め取る。 「んっ…や…」 ぬるりとした感覚が、クリームのものなのか、良次の唾液なのかは分からない。 ただ、舐めると言うよりは、言葉通り食べると言う方が合っているかもしれない。 時々良次の歯が当たり、痛みともくすぐったさとも言えない感覚に体は震えた。

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