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《15》

「俺、良次の事、何も知らない」 ポツリと呟いた俺の言葉に、良次が驚いた顔をする。 「良次の仲間は皆、ずっと前からの良次の事を知ってて…、良次の色んな面を知ってるんだな…」 自分でも、こんな事を言ったら良次を困らせてしまうのではないかと思う。 だけど一度、吐露してしまった言葉は、次々と溢れ出る。 「それが…羨ましい…」 「利久…」 「良次が居なくなった時、俺、良次の事探したんだ」 「………」 「でも、何処に行ったのか分からなくて…。それどころか、良次の事何にも知らないんだって気づいたんだ…」 俯いた俺の頭を、優しく良次が撫でる。 だけど、その顔は笑っていて、少しだけムッとする。   「俺の事、女々しい奴だと思ってるんだろ…?」 「まさか」 じっとりと睨む俺に、良次は首を横に振る。 「俺の恋人は、世界一可愛いなって思ってたんだ」  「どうだか…」 「俺の誕生日は5月11日の牡牛座」 「え…?」 「血液型はA型」 「良次…?」 急に話し始めた良次をポカンと見つめる。 「まだ教えた事無かっただろ?」 言いながら、良次が愛おしそうに俺を見つめる。 「今すぐには、こんなありきたりな事しか言えないけれど、利久が知りたい事は何でも教えてあげる」 良次の視線があまりにも愛おしくて仕方ないというもので、俺はみるみるうちに顔が赤くなるのが分かった。

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