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《4》

「先輩方、もうすぐ次の授業が始まりますけれど、2年棟に何か御用でしょうか?」 急に俺の背後からした、不自然な程の猫撫で声に、その場にいた全員が凍り付く。 背後をゆっくりと振り返ると、そこには明らかに怒りで口元を引き攣らせている良次の姿があった。 その姿を見た相原は、優の時の比ではない位に飛び上がって慌てふためきだす。 「い、いや、別に!なぁ、志…水?志水…?志水っ!?」 そこに、既に志水の姿は無かった。 「じゅ、授業始まるから、い、行かなきゃな…!」 そう大きな一人言を言いながら、相原も逃げる様に去っていった。 周りに誰もいない事を確認して、良次が優を小突く。 「廊下で何遊んでんだ…!」 「わ…、悪ぃ……」 「たくっ、お前まで一緒になってあんな目立つ場所でじゃれ合ってんじゃねぇよ、馬鹿」 「あー…、何か心配してくれてたみたいで…」 慌てて良次と優の間に割って入る。 「志水はお前のファンだからな。相原に何か言われなかったか?」 「…………い、いや、別に」 大した事を言われた訳では無いけれど、困った事を思い出してどもってしまう。 それに気付いた良次が舌打ちをした。 「チッ、あいつ。マジで1回絞める」 良次の目が怖すぎて何も言えず、俺は心の中で相原に謝った。

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