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《5》
「まぁ、いい。資料運ぶの手伝え、優」
「はいはい」
良次が運ぼうとしてる資料は、かなりの量だった。
確かに、これを一人で運ぶのは大変そうだ。
「あ…、俺も手伝うよ!」
そう言って手を出すけれど、良次は優しく微笑んで首を横に振る。
「重いから、利久は大丈夫だよ」
「え!?でも…」
明らかにこの三人の中で俺が一番力ありそうだと思うんだけど…。
困って優を見れば、ケラケラと笑って俺の背中を叩く。
「甘えとけ、甘えとけ~。王子様が良いって言ってんだから」
「俺も男なんだけど…」
割と力も体力ある方なんだけど…。
確かに大切にすると良次には言われたけれど、こういう扱いは望んでないっつうか…。
相原にもオカマ野郎呼ばわりをされている手前、
男としてちょっと傷つく。
「ははは、小野部は女の子には見えないから知ってるよ」
「でも…」
不満げな俺に、良次が薄いファイルを手渡す。
「じゃあ、これ運んでくれる?」
手渡された空気の様に軽いファイルを見つめる。
何か…。
納得いかねぇ…。
俺は、知らずくっと唇を噛んだ。
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